アナテーズ(鋭錐石)
アナテーズ
アナテーズ(Anatase, 鋭錐石)はチタンの酸化鉱物(正方晶系)で化学的には二酸化チタン(酸化チタン(IV))の結晶です。 アナテーズはルチル(Rutile、金紅石)およびブルッカイト(Brookite、板チタン石)と多形(同質異像ともいい、成分は同じで結晶構造の違うもの)の関係にあり、共に化学式は TiO2 です。 このうちアナテーズと金紅石はともに正方晶系と結晶系は同じですが、ルチルがチタンを中心として6個の酸素が配置した八面体の頂点を共有した構造なのに対して、アナテーズは陵を共有した構造になっています。このように結晶の単位格子(結晶の最小単位)内の原子の共有状態が異なる場合も多形として扱われます。 また、アナターゼ型の二酸化チタン(鋭錐石)が900℃以上に熱せられると、ルチル型の二酸化チタン(金紅石)に転移します。そしてブルッカイト型の二酸化チタン(板チタン石)が650℃以上に熱せられると、こちらもルチル型の二酸化チタンに転移します。そしてこれら3型のうちルチル型が最も安定した構造のため、一度加熱されてルチル型に転移したものが冷却されてもルチル型を維持します。このため、アナテーズやブルッカイトの仮晶としてのルチルが産出される場合があります。
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